それから、一週間。学校帰りに、椎名くんはファミレスで数学を教えてくれた。
先生よりも分かりやすかった。
そして、いよいよ追試の日。
がんばれと背中を押してくれた椎名くん。
彼を裏切るわけにいかない。
椎名くんのためにも頑張った。
そして…
「じゃーん!」
「お!81点」
合格した。
答案用紙を見せると、私以上に椎名くんは喜んでくれた。
「ほんとありがとう。椎名くんのおかげだよ」
「俺は、別に…」
照れたように笑う椎名くん。
その顔を見て、ハッとした。
「なんか、お礼しなきゃだね」
「いいよ。そんなの」
「ダメ。あたしの気が済まない」
何をしてあげたら、椎名くん嬉しいかな?
あ、そうだ…
椎名くんって、いつもお昼は購買部のパンだよね?

