椎名くんの背中から、頭の方に視線を上げると、何故か彼の横顔が見えた。


椎名くんは、窓の外をじっと見ていた。



先生の声が椎名くんには届いていない。



というか聞いていない。



先生は何度も名指しすが、椎名くんは完全に上の空。




椎名くんを見る先生の顔が怖い。





「椎名くん、椎名くん…」


その顔を見た私は、慌てて椎名くんの背中を叩きながら、小声で呼び掛けた。