「椎名くんも来てたんだね」



私の声に、俯いていた椎名くんが顔を上げた。



その表情には哀しみしかなかった。




目が合うと、椎名くんは深く息を吐いた。



「椎名くん…結花に会わないの?」


椎名くんは、首を横に振った。



「…会えない」


「でも…」


「俺のせいでこんなことになったから」


「でも、結花は無事だったんだし」


「ごめん。やっぱり会えない」



頭を下げて、椎名くんは中庭から出て行った。