13時半、校門に到着。
まだ椎名くんの姿は見当たらない。
ソワソワしながら、待っていると、
「あれ?遠野さん?」
名前を呼ばれて振り返ると、校門から千秋くんが姿を現した。
「千秋くん」
「どうしたの?何してんの?」
「え…っと…千秋くんこそ?」
千秋くんも私服だった。
「あ、部室に忘れものしてたから取りに来たんだよ」
「忘れ物?」
「うん。遠野さんは?」
「あたしは…」
私の動揺ぶりに、千秋くんは不適な笑みを浮かべた。
「もしかして、誰かと待ち合わせ?」
「え?あ、うん」
嘘をつく必要もないから、小さく頷いた。

