驚くのは僕の方だが、僕はなぜか冷静だった。



彼女は恥ずかしそうに顔を手で覆って、ぺたりと床に座り込んでいる。




でも、なぜ恥ずかしそうにしてるのかよく分からない。




「遠野さん?」





何度か呼び掛けると、彼女はゆっくりと深呼吸をしながら、僕を見た。



「ごめんね。椎名くん」


彼女はそう言ってフっと笑った。





「椎名くん、こんなとこで寝てたら風邪ひくよ?起こそうとしたんだけど…」



僕を起こそうとしてくれたのか…。






そんな彼女の優しさがしみる。