「水、飲みたいんだけど?」
自分でも驚くほどの冷たい声。
これが、嫉妬心なのだろうか?
「悪い、椎名」
なんで呼び捨て?
親しくしてないよな?
千秋くんの言葉が余計に苛立たせる。
でも、本当はそんな自分自身に1番苛立っていた。
だからこそ、遠野さんを見ることが出来なかった。
こんな最低な僕が君を見ることは出来ない。
君の光を黒くしてはいけない。
自己嫌悪になって何も言わず立ち去ろうとした僕に彼女は、惜しかったねっと言ってくれた。
だけど、それでも目を合わすことが出来なかった。
そしてそれから僕は、ますます君との距離を取るようになった。

