振り向くと、そこには今朝自転車置き場で声をかけてきた誰だか分からないヤツが立っていた。

うわ、またこいつかよ。
話しかけてくるのはいいんだけど‥‥誰だか分かんねぇんだよなぁ。



「‥‥よぉ!」


「よっ、
なぁなぁ、あいつ見てみろよ」



そいつが指差した先は、体育館の出口のすぐ横に立っている男女だった。

女の子は、壁にもたれるような形で立って下を向いている。
男が一方的に女の子に話しているようだ。


「‥‥あそこの二人か?」


「そうそう。
あの男うちのクラスなんだけどさ、
女好きの女ったらしな奴なんだ。

さっきからあの女の子にべったりでずっと口説いてるぜ。
見るからの女の子嫌そうなのに、迷惑な奴だよな」