智也の思いつきから始まったこの計画、
意外と上手く行くのかもしれないな!


人を騙すのは気が引ける部分があるけれど、
こういうのもたまには悪くない。



「‥‥何か楽しくなってきた!
いつからやろうか?」


「んなもん、明日からに決まってんじゃん!
もたもたしててどうすんだよ」


「明日!?
でも俺、髪型智也とちょっと違うけど」


「あ、そっか!
でも形は同じだし‥‥
ちょっと切って短くすれば、だいたい一緒な感じになるんじゃねぇ?」


「え、切るって誰が!」


「なーに、
俺が切ってやるよぉ、正志クン」

そう言って智也は
にやにや笑いながら、ハサミを持って近づいてくる。





「ちょっ、智也怖ぇ!
変になったらどうすんだ!」


「大丈夫大丈夫、俺を信じなさいな」





そのまま俺は智也に髪を切られて、智也と同じくらいの長さになった。

二人とも髪染めはしていないから色は黒で同じ。
何とか失敗はされずに済み、無事に『智也風ヘアー』が完成した。





「お、いいじゃん正志!
完璧に俺に見える!

俺、美容師の才能あるんじゃねえ!?」




「調子乗んなよ。

まあでもたしかに
これなら俺、智也に見えそうだな!



でも智也はどうすんの?
俺のふりするにしては、ちょっと髪短すぎないか?」




「俺は大丈夫!

普通に、髪切ったんだーって言うから」




「あ、たしかに。

それなら全然おかしくない。
大丈夫そうだな!」