「‥‥リョウ。俺、用事思い出した」 俺は、ぽつりと言った。 「えっ?帰るのか?」 「あぁ、帰る。 悪ぃな、急用なんだ」 ‥‥急用があるなんて、もちろん嘘だけど。 告白を終えて、幸せそうに戻ってくる二人なんて‥‥ 今の俺には見られない。 俺は立ち上がり、カバンを肩にかけた。 「‥‥そっか!分かった。 気をつけてな」 俺は小さく微笑んでうなづき、その場を後にした。