‥‥そして俺達は、
とりあえず今日のところは家へ帰る事になった。



行きと同じように、
リョウは奈々子を、俺は美保を後ろに乗せて
自転車を走らせる。



美保は行きと一緒で、
俺のシャツを小さくつまんで俺につかまった。


自転車が揺れるたびに、俺のシャツを持つ力がきゅっと強くなる。


シャツが引っ張られるその重みが後ろに居る美保の存在を実感させて、俺を幸せにした。




‥‥自転車をすすめながら振り返ってみると、美保と目が合った。


丸くて大きな美保の瞳が俺をとらえる。
綺麗な長い黒髪が、夏の夜風でふわふわと流れるように揺れていた。