ぼくはあの日の向日葵のおかげで耳も足もついた。

あれから1週間がたった。

今では施設の風景も人もお馴染みになった。

ただ,本当に向日葵に声をかける人はいなかった。

まわりの子供が楽しそうに遊んでいるのをただ…ガラス越しに見ているだけだった。

その時の向日葵の顔は…どこか寂しそうだった。

「向日葵ね~…」

向日葵はぼくに自分のことを良く話してくれる。

その時の向日葵は楽しそうだ。

向日葵は信じれる。

向日葵だけは。

「向日葵はね~ボタンが大好き!!」

向日葵はぼくを必要としてくれた。

ぼくはそれに応えるように見守るだけ。