『ねぇ。どうしてそんなに毎日眠いの?』

いつものベッドで寝ている渋谷くんに声をかける。

『夜中まで勉強してるから』

『それで、昼間眠くて授業抜けてるの?それ、意味なくない?』

『なくないよ』

『なくないよ?変な日本語』

『ななちゃんが言ったんだろ』


渋谷くんが笑うと、布団が揺れる。

『本当に夜中まで勉強してるの?』

『本当』

『どうして?』

『成績落ちたら、家に連れ戻されるから。そういう約束だから』

なるほどね。
だから、あんなに大量の参考書があるんだ。

『約束ってお父さんと?』

なおも話しかけると、渋谷くんが体を起こした。

『あ、ごめん。寝かせろって?』

『ううん。あんま眠くないから起きる』

組んだ両手を上に伸ばしてから、

『ここ、座ったら?』

渋谷くんがベッドを指差す。