はら
はら
はら



雪が舞う。


『…本当、最悪』


24年間生きてきて、これほどまでに最悪なクリスマスは初めてだった。
これからも、きっとないだろう。


『こんなネックレスなんかして…超、惨め。てかバカみたい』


ショッピングモールを出て、どこをどう歩いたかわからない。


逃げるように走って走って走って。
そのあと、1時間くらい歩いただろうか。


今、何時だろう…。ここ、どこだろう…。


ふと、顔をあげると、見たことのあるコンビニが目に入った。
ぼんやり歩いていたのに、ちゃんと帰ってこれた…。


『…夏々子の帰巣本能ナイス』


ぼんやりと呟く。


今頃…
渋谷くんは松原さんと二人でいるのかな。
あの白と黒ばっかりの部屋で。
渋谷くんの匂いのするベッドにいるのかな。


じわり。
枯れたはずの涙がまたあふれて、視界がぼやけた。