ショッピングモールの中は、暖房がきいていて暑いくらいだ。

マフラーを外し、コートの前を開けて、私は一人でブラブラしている。

どこもかしこも、カップルばっかり。
ほかに、行くところはないのかしら。

自分のことを棚にあげて、ぶつぶつと呟いた。


『おねーさん、一人?』

大学生くらいのチャラ男が話しかけてきて、心底うんざりする。

聞こえないふりをして、何人もやり過ごした。

映画を見て、おいしいもの食べて、買い物して…なんて思っていたけど、これじゃあナンパされにきたみたい…。

映画館は混んでるし、ホラー映画なら空いてるかと思ったのに、それさえも満席だった。

本当、なにもかもがうんざり。


映画もご飯も買い物ももうどうでもいい。
どうせどこにいたって考えてしまう。


――クリスマスに泊まりにこないか、って誘われてる――


『帰ろう…』


呟いて、正面入り口の自動ドアを出ようとした時だった。