『よし。いいかな』

鏡の前でくるり、と回ってみる。

鏡の中には、黒のワンピースを着て、髪もゆるく巻いた私が笑っている。
持ってる服の中で、一番大人っぽいワンピース。
いわゆる勝負服。
着るだけで、それなりにテンションがあがる。



『うん、なかなかいけてる』


アクセサリーケースの中から、二十歳の誕生日にお母さんからもらったパールのピアスを選んだ。

ネックレスは…


渋谷くんにもらった、ピンクゴールドのネックレスが目に入った。


私はそっとそれをつまみあげると、しばらく見つめて、身につけた。


『…ほかに、今日の服装にあうネックレスがないのよね…』

これデザインだけは気に入ってるしさ…。


てか、今さらだけど、私あんまりアクセサリー持ってないな。


『今日、買っちゃおう!そうしよう!!大人、イエーイ』


イエーイ…



握った拳を斜め上に突き出して、無理矢理テンションを上げた。
無事に上がったかどうかはよくわからないけれど。
気が晴れるなら、なんだってしたらいい。