そんなとき、出会ったのが同じ傷を持つ彼女だった。
「 この傷、あんたも? 」
凄く美人で、背の高い彼女の存在は目立っていたから知っていた。
実は私は、小学生の間はフリースクールと言われるところに通っていた。
激甘だった祖父母に、ちょっと色目を使い普通の学校ではなくフリースクールにしてもらったのだ。
理由はいたってシンプル。引っ越したことにより、転校を余儀なくされその学校のボス女に目をつけられたから。
―― いじめが怖かったわけじゃない。
痛みに慣れすぎていた私は、自分が爆発して人に危害を加えることを恐れたのだ。
当時の私は、母親への悲しみと憎しみで生きていたようなものだったから。
自分で自分が、何をするかわからなかった。
正直、自分があんなにも怖いと思うことはもう後にも先にもあの時だけだと思う。
「 そう、だけど。あんたも? 」
彼女が指差していたのは私の足にある大きな傷。
階段やマンションから落ちた時にできた傷のうちの何個かが、痕となって残っていた。

