少しざわついた会議室。
しかし、1つも怯まない彼女は一体何者なんだろうか。
ふわふわのセミロングの髪を揺らして、彼女の丸い目が優しく笑う。
―― 松村一歌は、社でも可愛いと人気があった。
才色兼備、とは彼女のことを言うのだろうか。
整った顔立ちに、すらっとしたスタイル。仕事の早さ、信頼、慕われの強さは企画課で誰もが認めるものだった。
尚且つ優しくて、少女のような彼女の声はそれだけでもプレゼンの効果を高めているような気さえしてしまうほどだ。
まだ支社から異動してきて間もない俺でも、毎日のように彼女を褒め称える声を聞くほどだ。
全てに恵まれている女は得よね、なんて女社員はやっかんでいたけれど。
そいつら全員に聞かせてやりたい。
彼女の重たい過去を ―――

