セピア



資料がバサッと落ちるのがわかり、舌打ちをしたくなるのを我慢する。





「 、、、すげえ、こんな出来てんの? 」





私が拾う前に、彼にとられた資料はきっと誰が見ても完璧な出来。





予算や収益効果、来客予想、時間帯、すべてのデータをまとめてある。






ふぅ、とまた小さくため息をついて彼の手から資料を奪う。






「 当たり前です、自信があったので。 」





きっと、私のこういう態度も女社員にとっては鼻につくのだろう。





「 すげえな、自信満々じゃん。



じゃあさ、さっきのため息は何なわけ? 」






この人、根性曲がってる?いいのは顔だけ?



無駄にでかい彼が、扉の前にいるもんだから出ることが出来ない。






確か、支社から本社ってエリートコースよね?




それなら、この人は仕事ができる人間なんだろう。





力を買ってくれての問いなのか、はたまた私の過去に興味があるのか。 





「 面倒くさいって思ってるだろ? 」




私の顔に丸々書いてあったであろう、その問いは正解。




笑いながら言う彼に、私は観念した。