お前のために歌うから。

「…どうしてほしいの?」

彼女をじっと見つめて尋ねる。

里緒ちゃんが何を考えているのか分からないけど、あたしに出来ることがあるなら、って思ったから。


「瞬さんと別れて下さい」


え?


「な、んで?」

「…むかつくんです。私の方が瞬さんのこと好きなのに。」


それは…

「ごめん、それは出来ない。」

勇気を出してきっぱりと断った。 


「知らないですよ、どうなっても。」
里緒ちゃんが口角を上げて小さく笑う。

一瞬、背筋がぞくっとしたが、私と瞬なら大丈夫。そう自分に言い聞かせ、こくこくと頷く。

里緒ちゃんが部屋を出て行けば、思わずベッドに寝転ぶ。


どうしよ、超強気で言っちゃった。
本当に大丈夫かな。