お前のために歌うから。

一緒に食事して、イルミネーション見て、
それはそれはベタなことしたわけですけど、あいつが楽しんでたから良しとする。


「今日は本当にありがとう!すっごく楽しかった~」

「俺も」本当に嬉しそうな彼女を見て笑いながら言う。

「じゃあね」心菜が笑って手を振る。


でも

何か物足りない。


俺は振り返らずに帰って行く心菜の後ろ姿を見つめる。


あいつが欲しい。

駄目だ、止まんねー。


「心菜!」


「え?」

名前を呼び、手首を掴み引き寄せる。
気付いたらキスしてた。一瞬だけ。



我慢できなかった。


状況が分かってないであろうあいつは呆然としている。


「おやすみ」と心菜の頭をぽんと撫でて帰った。



後で自分のしたことの重大さに気付いた。


何やってんだよ、俺。


あーあ。マジでやばいかも。


もう止められねーほど



心菜が好きだ。