翌日、気が付くとあたしの体は光の粒子をまとって透け始めた。ジンはその様子を見て、優しく微笑んだ。

「次はちゃんと親孝行してからこっちに来なさいよ」

「余計なお世話」

あたしがそう言って口を尖らせると、ふとジンが穏やかな口調で言った。

「瑠璃ちゃんは私のことを忘れてしまうけど、私は君のこと忘れない。忘れないよ」

「……………」

「だから、だからね」

一筋、彼の頬に透明な液体が伝った。


「今度は長生きして、天国行ってね」


「………」


なんだ、なんだよ。

「アンタだけ覚えてて、あたしだけ忘れてるって何か悔しい」

あたしがそう言うと、ジンは不思議そうな顔をした。


「次に来たときは、“よう、泣き虫ジン”って罵ってやる」

「………素直じゃないなぁ…」


あたしの頬に、何か温かいものが流れた気がしたが、恐らく気のせいだろう。
光の粒子の合間に見えたジンの顔は、至極穏やかなものだった。