* * * *





目の前に広がるのは巨大な門。霧が掛かった視界。
思い出した。すべての引っ掛かりが無くなって、一本の糸のように繋がる。

「…あたし、また親不孝な娘だね」
「そうだね」

ポツリと呟いた言葉に、返事がある。憂いの籠もったテノール。会いたくてたまらなかった、記憶をかき回してた声。

「アンタが泣くから、来て上げたのよ」
「……長生きしなきゃダメだって言ったじゃない」

ぐす、と涙声になる彼。あたしは笑う。

「よぅ、泣き虫ジン」
「…ばか」

そう言う割に穏やかな表情を向けてくるジン。あたしは髪を掻き上げた。


出会いは別れのはじまり。でも、逆もまたしかりだと思うの。





ハローグッバイ、
泣き虫神様と強がり少女






end