じめじめとした梅雨特有のけだるさを肌に感じながら目を覚ます。



1人部屋に置くには少し大きなベッドからゆっくりと体を起こし、枕元にあるスマホに手を伸ばす。



「5時7分・・・・ 5時7分っ!?」



あわててとび起き、再度時間を確認する。

そして制服に着替え、寝癖ではねた髪の毛を手で押さえながら、部屋を出てすぐそばにある階段を降り、家族の共有スペース、所謂リビングへと向かう。

今日の朝食担当は私だったため、目覚ましを4時30分にセットしていたが、いつの間にか止めていたらしい。



ちなみにこの家に両親はいない。

母はアメリカ、父は空にいる。

父は交通事故で即死だった。 病院で声が枯れるまで泣き続けていた母の姿は、今も尚鮮明に思い出せる。

思い出すとこぼれそうになる心の蓋をそっと閉じ、気分を上げるためにも鼻歌を歌いながらキッチンへ向かう。



朝早くに出ていく兄弟もいるため、朝食担当は4時30分には起きるように、皆でルールを決めた。

だけど今日に限って寝坊するなんて....


「まぁ、間に合うでしょ」



私1人しかいない空間でそうつぶやいた。