「矢野、もし次言ったら……わかるよな?」




「ひぇっ……ごめんなさいっ、気をつけますっ!」



いつものやりとり。だけどこいつの瞳の奥は恐怖の色に染まっていた。



「おまえ……俺が怖い?」



「へ、なんで……?」



「だって…震えてるじゃん。」



「やっ……」



頬を触ると振り払われてしまう。


……なんだよ、スゲェ辛いんだけど。



胸が痛くて切なくてどこか甘くフワフワした気持ちになる。


この感じは知っている。



だけどーーまさか、な。



俺はもう恋なんてしないって決めたから。