「あ、もしもし、木村くん?」



日曜日、私は木村くんに電話をしていた。



『ん、そうだけど。どうかした?』



耳に心地よい低音ボイス。



「あのね、今日、千智と決着つけてくるから。」



私は今から千智の家に行く。お母さんと一緒に。


このあいだのお礼に美佳子さんが呼んでくれたのだ。



『そうか。』



たった一言、だけどその声色は心配を示していた。



大丈夫だから。心配しないで。



「うん、じゃあね?」



『あぁ。』




ツーツーという音とともに通話終了、という表示を見て、



「いってきます!」



大きな声を出してお母さんと家を出た。