「木村くんっ、まだ伊藤くんの話の途中だったじゃないのっ!」 屋上を出てキッと睨むと木村くんはヤレヤレと肩をすくめた。 「おまえさ、なんの話か気づいてないわけ?」 「は?まだはなされてないんだからわかんないに決まってんじゃん。」 すると木村くんため息をついた。 「……お前鈍感過ぎ。」 「ど、鈍感⁉︎ 違うしっ!」 普通はわかんないに決まってる。話す前から何の話かなんて。 「あとさ、」 木村くんは言いにくそうに口を開いてから苦笑した。 「あと、あいつの名前、伊藤じゃなくて佐藤だから。」