すれ違って、やっとここで出会えたのに。また、ここで運任せにして、出会えたことを、偶然にしていいのか。

私はまたむとうさんと話すんだ。むとうさんと、いつも二人で会える仲になりたい。

「…お水にしますか?」

すっかり柏木さんの言葉を忘れて考えに入っていた。

「いえ…あの、私…むとうさんが好きなんです。いつか会える、じゃなくて、いつでも会える仲になれるように、また確実に会いたいんです。」

柏木さんは真っ直ぐ濁りのないつぶらな瞳で私を見ている。

「柏木さん、何かしりませんか。なんでもいいんです。むとうさんが行っていた福富町の事務所とか。追いかけて、壊れてしまう仲ではないと信じているんです。運任せで待ち続けないで、自分でむとうさんとの信頼関係を作り上げていきたいんです。」

「…鈴木さん。迷いが無くなったようでよかったね!一先ず、僕から一杯プレゼントさせてもらえませんか?」

そういうと、柏木さんはレモンジュースをしぼり、シェイカーを振った。