むとうさん

モザイクがかかったように、はまりかけたパズルの全体像を俯瞰する。

分かりそうでわからない部分を明確にしていく。

つまり、むとうさんの家はもしかしたら山崎家からお金を借りていて、そのお金が直接的な原因でないかもしれないにしろ、むとうさんの両親は夜逃げをした。

むとうさんはそこから徐々に極道の道を進んでいき、山崎のおじさんも暴力団員だった。

それはつまり…申し訳ないような、なんとも言えない因果、そんなことなのに、パズルが完成していく感覚に、知りたいと言う衝動が抑えられない。

「むとうさんが極道であることと、おじさんも極道であることに何か関わりがあるのですか?」

「うちと伊織くんは偶然に関わりが多すぎたの。伊織くんの両親には…大口で貸していたわ。でも、昔だから、この辺のパチンコ屋とかでも小口でお金を貸し付けていたりしたの。そのパチンコ屋で高校生の時、伊織くんは働いていた。」

むとうさんの高校は私立のはずだから、多分バイトは禁止だっただろう。同じ県央地域のパチンコ屋でこっそりバイトをしてたのかもしれない。