むとうさん

ここでむとうさんに触れたらどうなるんだろう。

手を握ったり、肩にもたれてみたり。胸に飛び込んでみたり。

初めの頃に比べるとむとうさんと大分打ち解けた。
でも、彼とは一定の距離を感じる。彼は賢いから、感情的になることはないと思う。距離を置いていることにも何らかの意味があるはずだ。

きっと、拒否するわけでもなく、積極的になるわけでもなく、なだめて受け止めてくれるんだろう。それとも、普通の男みたいに生々しくなってしまうのか。

むとうさんの魅力は、その温度の無さなのに。

でも…私は触れるかわりに、話をした。