交差点の手前で信号が変わり、スピードは落ちていく。

車線変更ラインに車が並ぶ。

薄目のまま、ぼんやりと横に止まる車の並びを眺めていた。




視界が広がっていく。

確認しようと、瞳をこじ開ける。








左折する並びに、ナオヤが居た。

お互いの車が並び、すぐ近くにナオヤが居た。

手を伸ばせば届きそうな距離。

だけど、届かない。

隣にはユウキが居る。


ユウキに気付かれない様に、ナオヤに視線を合わせる。



──偶然にしたら、出来すぎた展開。




ナオヤと目が合った。

驚き、目を丸くしている。

ガラス越しに見るナオヤ。

もどかしい思いだけが膨らんでいく。

ナオヤ、逢いたかった。
私は他の誰でもない。ナオヤが必要なんだ。





刹那的に目が合わさり、ナオヤの方から視線を外した。

彼の瞳の色は、いつか見た闇に覆われていて、気まずそうな雰囲気で、私の視界から居なくなった。

おそらく、シートに深くもたれたのだろう。



──でも、どうして?