アルコールの香りがする。

それに混じって、ナオヤだけの香りもする。

並んだそばから、体温が伝わってくる。


きっと、私もナオヤに伝わっているのだろう。


少しだけ、鼓動が早まった。




ビールのせいにしたかった。




煙草を揉み消しながら、ナオヤが囁く。

「ワイン、飲まねーの?」
「ん…?」
「結構うまいよ」

煙草と、アルコールとナオヤが混じった香り。

近くで見ると、少しだけナオヤの頬が赤くなっている。
黒い目も、潤んでいる。


色っぽいと思った。


まっすぐナオヤの顔を見ることができず、視線を逸らしてしまう。