タマシイノカケラ

後ろ手に扉を閉め、すぐに抱きついてくる。

「──カナ」



弱々しい声が、頭の後ろで響く。

私より頭一つも大きくて、しっかりした胸板があって、筋肉質な腕のユウキ。

腕に込められる力は確かに力強いんだけど、私の名前を繰り返す声は、折れそうなほど、弱かった。

男なのに、何でそんな声出すの…

何度も喘ぐ様に繰り返される、私の名前。

深く、静かに、私に突き刺さる。






苦しかった。

締め付けられる腕の力も苦しかったけど、それ以上に、胸が、心臓が、心が苦しかった。

苦しくて、涙が出そうになる。

でも、ユウキの前で泣きたくなかった。

何でかは、解らない。

でも、泣いたら負けてしまうと思った。

自分でも馬鹿馬鹿しいと思う発想。





涙は溢れてきそうになるけど、必死で食い止める。