「ま、いいじゃないさ。カオリのケーキは2人して一緒に食べよ」

タケシはカオリの側に寄り、自然に肩を抱く。

「お前らも仲良く飲めよ」

タケシから缶ビールが手渡される。
ひんやり、冷たい。

──少しだけ、酔ったかな?

普段は酒に強い方だが、今日は自分でも分かるくらい、火照っている。

新しいビールを空けようとした時、


チョイ、チョイ──


ナオヤが手招きした。


──一瞬、自分だけの時間が止まった。

カオリはタケシと寄り添いながら、ケーキを食べている。

ナオヤは──笑顔を浮かべている。
それも、極上の笑顔。
クラクラする。

(…その笑顔、反則だって…)

ナオヤはきっと、自覚なんかしてないだろう。


吸い込まれる様に、私はナオヤの隣に座った。