タマシイノカケラ

頭を抱える。

黒髪が、スコールの様に私を覆う。





──遠くで音がした。


我に帰り、耳を澄ます。

鞄の中で、ケータイが鳴っていた。

救いを求めるように、ケータイに飛び付く。


──ナオヤだったら。

彼からであったら、他になにも要らないとさえ、思っていた。

ナオヤだったら、私を助けてくれる。

夢の続きの生活からも、救い出してくれる。

そう思っていた。

鞄の中から、ケータイを取り出す。

壊れやすい、ガラスでできた物を扱う様に、慎重に画面を開く。

薄暗い室内に、光が広がる。

ぼんやりとした光に、私は包まれる。








──差出人は、ユウキだった。









音をたてず、何かが崩れていった。

でも確かに、心にヒビが入り、妄想は容易く砕かれた。



私はまた、闇の中を歩き出した。

堕ちて、繰り返される事を知りながら。