心は正直で、芽生えた感情はすぐに消え去ってはくれなかった。
──ナオヤは淡々と、メニューのオーダーをしている。
何度も、思考の狭間で私は戦った。
好き。
私は、ナオヤの事が、好き。
まただ。
また、手招きを繰り返している。
求めたらイケナイ。
何度呪文を繰り返しても、闇は手招きを止めない。
いっそ、闇に飲み込まれた方が楽かも?
そうしたら、いつもの自分に戻れる。
肩に力を入れる事なんてない。
──素直に求めたら?
手招きを止め、深淵から顔を覗かせる。
私と同じ瞳をした、私に似た魔物が、私を見ている。
