「俺、酒飲んでたいし」


空いた片手でワインに口つける。

薄く開いた唇に、紅いアルコールが流れていく。



短めのウルフカット。
カラーは入れず、黒の柔らかい髪質。

蛍光灯に透けるくらいの白い肌。

シャツのはだけた襟元からのぞかせる、浮いた鎖骨。
首筋も喉仏も影を帯び、無性に噛みつきたくなる程に白い。

でも、袖から伸びる腕の筋肉や肩の骨格等は、しっかり男の人。

冷たい感じの切れ長の目元だけど、びっしり睫毛に覆われていて、優しい印象が強い。

髪と同じ黒い瞳。

でも深く、深く。
底が見えないくらいの闇の様。
酔っているせいなのか、潤んでいてその闇に吸い込まれそうになる。


そして赤い唇。

誘う、赤。


また、魅入ってしまう。


「お前、一人で空ける気かよ」

タケシが半分怒鳴りながら、ナオヤの手から瓶を奪おうとする。
が、ナオヤも負けじと体をよじる。

ワインと同じ色をした下を突き出し、

「おめーらは甘いモンでも食ってろ」

また瓶に口付ける。


「暴れんなっつーの!」

喧嘩両成敗、言わんばかりに、カオリが叫ぶ。