小銭を払いながら、
「何で?」

と呟く私に、

「何が、何で?」
札を抜き出しながら、ナオヤも呟く。


「だから、車なのに、なんでそんなにビール買ってるのかって事」

渡されたレジ袋を持ち、振り子の要領で腿を打つ。

「俺が飲むんだし、関係ねーだろ」

痛っ、とオーバーに当てられた腿を擦り、ナオヤもビールで膨らんだレジ袋を持った。


すれ違いに、浴衣姿の女の子達がコンビニに入っていく。
2人して、それを見送った。

後部座席に荷物を置き、2人同時に乗り込む。

「飲みたくなったら、1本やるよ」

進み始めた車内で、ナオヤは缶ビールを飲み始めた。

「んな事したら、帰れなくなるだろーが」

常識でしょ。
とも付け加え、ナオヤに非難の目を向ける。