決めていた返事を返そうと口を開く。



同時に、

「嘘プー」

ナオヤの表情が歪み、笑いを上げた。

何度も膝を叩きながら、

「んな色気のねートコ、行くかよ」

私の顔を見て、また吹き出した。

完全にフリーズした私を見ながら、まだ笑っている。

殺意が芽生える程、ナオヤが憎らしかった。
でも──私のどこかの部分では安心していた。





殺意、8割。
安心、2割。


私は8割の感情を灰皿に押し付け、ハンドルを握った。

ギアをバックに変え、急発進する。

「怒ってんの?」
「別に」

短く返して、ハンドルを切る。

国道沿いのコンビニを出て、一つ目の信号機に捕まった所で、私は目的地を告げようと、横目で見る。

ナオヤは、終始無言だった。
反省してるのかな?
思いながら、声色を変えた。