──乗っても、いいの?



ゴホゴホと咳払いを続け、ナオヤを見る。



余裕の笑顔。
挑発的な言葉と、決定権はお前にあるんだよ──そんな視線。


憎らしかった。


切り返す言葉が見つからない。



──乗るか、降りるか…。




でも、そんなに動揺する事ないじゃない。




自分に言い聞かせ、冷静を取り戻そうと、灰を落とした。

「ナオヤは、どうしたいの?」
「俺?」

ナオヤも灰を窓から落とす。

「カナに任せてるし」


ナオヤの方が、上手だった。


言葉を選んで、ナオヤの問いかけに返事を返す。

闇の瞳を見つめる。

闇の瞳が私を固定する。