タマシイノカケラ

“ただ、逢いたい”


きっと、それだけの事。

それだけの事に、理由も、意味も要らない。



ただ、カオリに逢いたいだけだった。



無我夢中だった。



ガムシャラに走り続けた。



不健康な生活のせいで、体の限界は越えていた。



心臓の音は、ひどく乱れて、気管支が、悲鳴を上げている。

汗でへばりついた前髪を払いながら、それでも前に進んだ。










カオリの部屋の前。


少し咳き込んで、私はインターホンを鳴らした。


夜の闇に、一筋の光が差し込んで来た。