窓の外から、賑やかな声が響く。

幼い声達。

とても、とても楽しそうな声。

時々、悲鳴にも似た笑い声がした。

合わさったカーテンの僅かな隙間から、黄色い帽子が一瞬ずつ、並んで通り過ぎていった。

小学生が、集団で登校して行くのだろう。

次第に声は遠のいて行く。




今日も、朝がやって来た事を私に告げた。









私はいつからこうしているのだろう?

あの日から、時間を無視した生活が始まった。

窓と向かい合う様に座る私。
ぼんやりと、針の動かなくなった時計を見る。

時間はあの日から進んでいない。




そう思い込みたくて、電池を抜いた。

日付を気にすることも無くなった。


時間に追われない私の生活は、とても静かに長く、長く。


このままの時が、永久に続けばいいと思った。

そうして、私は静かに狂って行く事を望んだ。