タマシイノカケラ

完全に演じていた。

さっきまで、あんなにも取り乱して泣き叫んでいたのに、嘘を語る時には冷静に演じていた。

私の語り口調から、恐らく即死であるとオバサンは思っただろう。

でも、そんなニュースはお昼のワイドショーに取り上げられない






今日私は、知らない通行人を勝手に殺した。





扉に向き直り、ドアノブを捻る。

少しだけ力を加えて、ドアが開く。



1LDKの部屋。



カーテンで閉ざされた、薄暗い部屋。

部屋の匂い。

白い靴箱。

壁のポストカード達。

冷蔵庫の唸り。




部屋は私を迎入れてくれる。

誰も居ない、私だけの部屋。

安心したら、また涙が出てきた。






今の私、独りになりたかった。