タマシイノカケラ

「…前園さん、よね?どうしちゃったの?何かあった?」

覗き込み、いきなり名前を言い当てられた。

入居してきた時から、近所付き合いなんてしなかったが、隣のオバサンは私の事を知っているらしかった。

「今日は平日だからてっきり仕事かと思ってたんだけど…仕事で何か嫌な事でもあった?…うちの息子も独り暮らししてて、この前急に職場から帰って来たのよ。私のとこにも連絡あって…理由聞いたら、怒られたからって言ったのよー」

一息で話終え、あなたもそうなの?と言わんばかりの目で私を見つめる。

「えぇ…」

絞り出した声は、まだ掠れていた。