タマシイノカケラ

玄関前で泣きながら発狂している私の前に、知らないオバサンが慌てて駆けつけた。

落ち着かせようと何度も暴れる背中を擦り「落ち着いて」となだめてくれた。

乱れた呼吸が整い始め、見知らぬオバサンも安心した表情になっていった。

「もう大丈夫ね?──一体どうしちゃったのさ?」

エプロン姿で、手には菜箸が握られている。よほど慌てて来たのだろう。

私がオバサンと箸を交互に見てると、思い出した様に、

「アラ、忘れてた。火止めてくるから、まずそこに居なさいね」

一方的に喋り、オバサンは隣の部屋に入っていった。

どうやら、隣部屋の住人らしい。

数分も経たないうちに、オバサンは約束通り戻ってきた。