タマシイノカケラ

ナオヤの事を思い出し、思考が再稼働する。

巻き戻される場面。



光のフラッシュバック。



風の感覚。



煙の匂い。



ビールの味。



『──同じなんだよ』



ナオヤの声。



『──戻ってくれるよね』



ユウキのセリフ。









私の中の、闇。









部屋までの道を一気に走る。

部屋の前。鞄の底をひっくり返し、鍵を取り出す。

震える手で鍵穴に通す──が、うまくいかない。

ガチガチと何度か擦れ、ようやく解放音が響いた。



ドアノブを握った瞬間。力なく崩れていくのが解った。

両膝に、コンクリートの冷たい感触。

腿の上に、膝の上に、染みになる涙。

頬を伝って、溢れてくる。

涙の筋を震える指先が辿る。





「あ───あぁッ」





声にならない声で、私は叫んでいた。