急いで風呂場で身体を洗った。
(あれ…バーコード、落ちない…。)
いくら擦ってもバーコードは落ちなかった。
(なにこれ、気持ち悪い…落ちてよ…。)
どれくらい擦っただろう。
痛いし、皮も剥けて血が滲んできた。
痛い。だけどこんな気持ち悪いもの落としたい。
やだ。やだ。早く落ちてよ。早く。早く落ちてよ。…

ガラッ
『マリカちゃん!なにやってるの!?』
「愛…さん…」
我に帰った。
ひたすら擦っていた腰はいつの間にか爪で引っ掻いていた…というよりえぐっていた。
手は血まみれだし、爪の間には何かが挟まっているし…。
『マリカちゃん、1時間も出てこないから心配したよ…。
大丈夫?痛いでしょ?』
そう言って愛さんは血の止まらない腰にそっとハンカチを当てた。
『とりあえず、出よっか。』
愛さんはそのあと、私に寝巻きを着せてくれて脱衣場の外まで連れていってくれた。

『マリカ…。』
「佑樹…。怖かった…。」
不意に涙が溢れてきた。
すると突然、腰の痛みに襲われた。
「痛…ッ」
倒れそうになったところを佑樹が支えてくれた。
『マリカ、ちょっとごめん!』
佑樹はそう言って私の寝巻きを捲り、腰を見た。
『ばか、なにやってんだよ!ずっとこんなことしてたのかよ…!』
「ごめん…。」
『ごめんじゃなくて…心配した…。』
そう言って佑樹は私の頭をポンポンとした。