少しずつ、見えるミライ

そう言ったところで、時、すでに遅し。

沙苗ちゃんの顔が、興味津々、悪代官モードになっている。



「朝陽君と上手く行ってないの?」

「な、何でよ? 別に朝陽君と私は、まだそういう関係じゃないし。」

「そうか。『まだ』なんだね。」

「へっ? あっ、いや.....。」

「隠さなくてもわかるよ。最近、未帆ちゃん、キレイだもん。いつもお肌がツヤツヤしてるし、朝陽君と話してる時、すごく可愛い顔するし、このまま上手く行ってくれればいいなと思って、陰ながら見守ってたんだけどさ。」

「.......。」

「気付いてないとでも思ってた? そんな訳ないでしょう。未帆ちゃんの性格考えたら、そっとしておいた方がいいと思ったから、わざと黙ってたんでしょうが。」

「そう、なんだ.......。」



言われてみれば、うちに来た日以来、沙苗ちゃんに、直接ツっ込まれたことはない。

私のペットとして注目されている割には、彼が私に好意を寄せていることがデパ地下内に広まっていないのも、不思議と言えば不思議だ。



「心配することなんて何にもないじゃん。どっからどう見ても、『好き好き』光線、発射されまくってるのに。」

「.....そう?」

「そうだよ。あれじゃ、デパ地下中に知れ渡っちゃうのも時間の問題。でも、悩んでるのはそんなことじゃないか。」

「うん。」