少しずつ、見えるミライ

「これ、制服? 可愛いじゃん。超似合ってる。」

「マジすか?」

「普通にケーキ屋さんみたいだよね。」

「てか、そうだから。」



あははは.....って、みんなで笑い合いながら、一人のお姉さんはいつの間にか彼の手を両手でギュッと握って、ブンブン振っている。

恐らく、事務所の先輩かなんかなんだろうけど、あまりに自然に彼がそうしていることに、違和感を覚える。

彼の周りに、あっという間に彼女たちが作り出した独特の空気感に、戸惑う間もなく、圧倒されてしまう。



彼女たちは、明らかに私の今までの人生には存在しなかった人種だ。

上手く言えないけど、彼に最初に会った時に感じたみたいなキラキラするオーラを纏っている。

オシャレでキレイなのもあるけど、キラキラの原因はきっとそれだけじゃない。

ネガティブな凡人の私には、眩し過ぎて、近寄りがたいくらいだ。



でも、多分、普段、彼の過ごしている環境って、こんな感じなんだよね。

彼がいるのは、私には縁遠いとしか思えない、夢を持って頑張る人たちのパワフルなエネルギッシュな世界。

もちろん、彼がそこで活躍することを祈っているけど、私にはどんなところなのか想像もできないし、入り込めない。

これからもきっと、陰で応援するくらいしかできない。