少しずつ、見えるミライ

目覚めた時、近くに人の寝息を感じるとホッとする。

そばにいる人の温もりが伝わるからなのかな。

彼が泊まりに来るようになって思い出した、なつかしい不思議な感覚だ。



ベットからそっと見下ろすと、キュートな寝顔が見える。

うっわぁ、睫毛、長っ!!

にしても、本当に可愛い。

うつ伏せで、ちょっぴりつぶれちゃってるほっぺにキュンとして、思わずジ~っと見つめてしまう。



気持ち良さそうだから、まだ起こさなくてもいいよね。

もっと見ていたい気もするけど、これから毎日見られるんだから欲張らないでおこう。

だって、今日は彼が起きる前に、朝ご飯を作っておきたいから。



部屋着のまま、エプロンを着けて、キッチンに立つ。

彼ほど凝ったものは作れないけど、これでも人の奥さんをやっていた経験はあるから、それなりに料理はできる。

この前、泊まりに来た時は、パンとハムエッグとかで簡単に済ませちゃったから、今日は和食にしようかな。

だし入り味噌しかないけど、ちゃんとお味噌汁も作ろう。



そんなことを考えながら、トントンと長ネギを刻んでいると、何となく視線を感じる。

起きたのかなと思って振り返ろうとしたら、背後から伸びて来た腕に、ウエストの辺りを緩く抱きしめられた。