少しずつ、見えるミライ

狙い目は、未帆さんの気が緩んでいる時。

すでに場はだいぶ温まっているから、後はタイミングを選ぶだけ。

わかっているのに、尋常じゃない緊張でパンパンになった俺の手のひらには、うっすらと手汗が滲み始めている。



そんなに緊張してどうすんだよ!!

さっきから、良さそうなタイミングを何度も逃してんじゃん。

モタモタしてたら、このまま何も言えずに朝を迎えるぞ。

しっかりしろ、俺!!



幸い、今日の未帆さんにはまったくガードを感じない。

それだけ俺に気を許してくれている証拠なんだろう。

なのに、迷うな。

何が何でも、今日、言うって決めただろ........




「ねぇ、さっきのアヒージョって、どうやって作るの?」

「へ?.....あ、えっと、具材に塩こしょうして、にんにくとオリーブオイルで煮込むだけです。」

「そんなに簡単なの? お店で食べたのと同じ味だから、感動しちゃった。」

「マジで? 良かった。よく注文してたと思ったから作ってみたんだけど。」

「すごく美味しかったよ。瀬戸君て、ホントすごいね。何でも作れちゃうんだもん。」

「そんなことないですよ。でも、未帆さんが好きそうなものは何となくわかるから、家で出来そうなものは、じゃんじゃん作りますね。」

「ホント? 嬉しい。」

「あぁっ!!」

「.....な、何?」